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2010年12月22日

アートとビジネス

散々、議論がされていて、いまだに議論がどこかで起きる「アートとビジネス」の問題。
今日、ちょっと気が付いたことがあったので書いてみる。

今回のポイントは価格である。

現代の先進国で行われているアートや音楽は、もともと王様や貴族の為に誕生し、後に市民の物になった。
市民とはいえ、一握りの富裕層の為のものであっただろうから、どちらにしても莫大な資産を持つ者のための存在だったのだろう。
それが現代になって、様々な表現は本当の意味で市民の物なった。
音楽はCDであれば、\1〜3000-で買えるし、ダウンロードなら数百円だ。
映画も1000円ちょっとで見ることが出来るし、演劇やミュージカルだって、数千円で見ることが出来る。
ところが絵画や彫刻などのアートを購入しようとすると非常に高額になってしまう。
勿論、若手の作家であれば、かなり安い値段で購入する事が出来るが、それがいつまでも続いてしまっては生活が成り立たない。

この違いは何か。
答えは分譲と占有の違いである。
よく、アートと音楽の違いを話すときに量産出来るか出来ないかの話になることがあるが、ある曲のCDをいくらコピーしても曲が増えるわけではない、曲の規模が増すだけなのである。
マンションの室数が幾つになろうと、マンションが一つであるのと同じである。
だから、ある曲を占有しようとすると、それなりに高額になってくるのでは無いだろうか。

アートの場合を考えてみよう。
例えば、50号の絵画があるとして、30歳の男が5日間で制作したとする。
サラリーマンの平均的な月給が分からないのだが、年齢×10万円が理想的だという都市伝説があるので、それにならって工賃を決めるとしよう。
30日のうち、週一回休めるとして、実労は25〜6日か。
すると、日当は12000円程度になる。
5日間で描いた作品はこの時点で60000円だ。
そこに材料費が加わる。これは作家によってかなり上下があるので、計算が難しいが、今回はキャンバス代、絵の具代、筆代など含めて15000円に設定。
おっと、この材料を買うための交通費や時間も計算しないと。
交通費(画材屋さんへの往復等)は2000円。
準備に1日かかるとして12000円。
さらにアトリエの維持費。
家賃5万円のアトリエだとしたら(うちはこれよりだいぶ高いです)、日割りで5日間だと、1666円×5で8330円。
電気代なんかもかかりますね。これも季節によって上下するので、月10000円から日割りで計算しよう。
すると、1666円。
ここにギャラリーを通じて売るとなると、コンテンポラリーのコマーシャルでギャラリー50:作家50の取り分が発生。工芸だとギャラリー40:作家60。老舗画廊なんかだとギャラリー70:作家30なんて場合もあるらしい。
ここに送料や梱包料も加えます。
送料は都内同士でも1790円。
梱包に一時間かかるとして、1500円+梱包在費300円。

もう一回まとめてみよう。

制作費 ¥12,000×5日=¥60,000
材料費 ¥15,000
アトリエ家賃 ¥1,666×5日=¥8,330
電気代 ¥333×5日=¥1,666
送料 ¥1,790(都内同士)
梱包費 作業費¥1,500+梱包在費¥300
―――――――――――――――――
合計 ¥88,586
税込み ¥93,015

この金額にギャラリー通して販売するとして、2倍します。
すると、この作家の50号の作品代金は、
¥186,030
となる。

本当は、ここに個展中に売ったとしたらギャラリーに滞在して営業するわけですから、その分の日当とか、取材にかかった費用だとかを乗せたいところですが、それはサービスしましょう。
作品に限らず、何かをオリジナルで作ってもらって、所有するというのはそれなりにお金がかかるものなのだ。

話が長くなったが、音楽や映画、マンガなんかは、巨大なマンションを作って、その中の一室づつを販売する手法。
絵画や彫刻などのアートは、一軒家を建てて売るような手法ともいえる。

表現が完全に市民のものとなったいま、アートは作品そのものを販売するのではなく、その作品をどれだけ大きな規模で作り、分譲可能な部分をどのように作るかという部分が大切になってくるのではないだろうか。
posted by MIKAMIn at 10:51| ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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